目薬の種類と効能
一般用目薬、抗菌用目薬、人工涙液、アレルギー用目薬、洗眼薬があります。
OTC薬の目薬は、一般用目薬(疲れ目、かすみ目、充血、プールの後の眼病予防など)、抗菌用目薬(ものもらい、結膜炎など)、人工涙液(ドライアイ用、コンタクトレンズ装着中の不快感)、アレルギー用目薬(抗アレルギー成分)、洗眼薬(裸眼を洗う)に大別されます。
目薬は何滴がちょうど良いか
一滴で十分です。
一滴の薬液の量は約50μℓ(まいくろりっとる)であるのに対して、目に入る量は30μℓ程度(結膜嚢けつまくのうの容量)とされており、一度に何滴も点眼しても効果が増すわけではなく、こぼれるばかりです。むしろ目のまわりがかぶれたり、鼻粘膜などから吸収されるなど、副作用を起こしやすくなります。
目は「むき出しの内臓」と呼ばれています。そのため目薬は無菌的に製造されています。点眼の際に、容器の先端がまぶたやまつ毛に触れると、雑菌が混入するため触れないように注意しましょう。
ソフトコンタクトレンズは、ソフトコンタクト用の目薬しか使ってはいけないのか
ソフトコンタクトレンズはソフトコンタクトレンズ用の目薬しか使用してはいけません。
ソフトコンタクトレンズは水分を含みやすく、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸ナトリウム)などの配合成分がレンズに吸収されて、角膜に障害を起こす原因となる恐れがあります。
ソフトコンタクトレンズを使用している人は、ソフトコンタクトレンズ用の目薬(人工涙液や保湿用)を選びましょう。
1回使い切りタイプの人工涙液のメリットは
防腐剤を含んでいないことです。
防腐剤は目の刺激になるため、使用してないものの方が目に良いです。1回使い切りタイプの人工涙液には防腐剤が含まれていません。一方、人工涙液や保湿用目薬で、「全てのコンタクトレンズに使用可能」なボトルタイプの製品には、添加物として防腐剤が含まれています。
しかし近年、コンタクトレンズも防腐剤が吸着しにくい工夫がされるようになりました。2009年、医療用目薬で使われている逆流防止ボトルを使用した、防腐剤なしのボトルタイプの人工涙液が発売されました。(アイリCL)
使い切りタイプの抗菌目薬の利点は何か
常に清潔に保てることや、余りを保存しておけることです。
使い切りタイプの目薬は防腐剤を使用していないので「目に優しい」というメリットがあります。また1本ずつ使用するので、余りの未開封のものを使用期限まで取っておくことができます。
なお抗菌用目薬はソフトコンタクトレンズ装着時は使用することができません。
目薬の成分
普段使用している目薬にはどのような成分が入っているのでしょうか。種類別に見ていきましょう。
抗菌目用目薬の成分は
ものもらいや黄色い目ヤニに使われる、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウムなどのサルファ剤です。
抗菌用目薬とは、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウムなどのサルファ剤を配合した目薬のことです。
細菌感染(ブドウ球菌やレンサ球菌)による結膜炎やものもらい(麦粒腫)などの化膿性の目の症状を改善します。
なお、全ての細菌に対して効果があるわけではありません。またウイルスや真菌(カビ類)に対する効果はありません。
3~4日使用しても症状の改善が見られない場合には眼科を受診しましょう。
サルファ剤によるアレルギーを起こしたことのある方は使用を避けましょう。
抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の目薬には、かぶれることはないか
どんな目薬にもかぶれを起こす可能性があります。
アレルギー反応を抑えるための目薬でも、目のまわりがひどくかぶれることがあります。点眼時に目のまわりやほほにこぼれた分は、清潔なティッシュなどですぐに拭き取りましょう。
目薬に配合される抗アレルギー薬とは
クロモグリク酸ナトリウムと、ケトチフェンフマル酸塩があります。
目薬は点眼したとたんに効き目を感じることが出来ます。点鼻薬と違って即効性を実感しやすいのです。
クロモグリク酸ナトリウムは、肥満細胞からヒスタミンが出てくるのを抑える作用があります。通常はクロルフェニラミンマレイン酸塩などの抗ヒスタミン成分と組み合わせて配合されます。
一方、ケトチフェンフマル酸塩は一成分で抗ヒスタミン作用と抗アレルギー作用を併せ持つため単味剤です。
プラノブロフェン配合目薬の使用上の注意点
7歳未満は使用できません。
プラノブロフェンは解熱鎮痛消炎剤です。目薬には炎症をしずめる目的で配合されています。プラノプロフェンはイブプロフェン、ケトプロフェンと同じ仲間で、プロピオン酸系のお薬です。プラノプロフェン配合目薬は、1日4回までの用法です。
ビタミンB12を配合した目薬の色は
赤色です。
目薬の色は着色してないんだね。
- ビタミンB12を配合した目薬は、ビタミン由来の赤色。
- ビタミンB2を配合した目薬は黄色。
- ビタミンB6だけの配合の場合は、わずかに黄色の透明。
またビタミンではありませんが、抗炎症成分のアズレンスルホン酸ナトリウムを配合した目薬は、青紫色になります。
保湿作用のある成分は
ヒアルロン酸ナトリウムや、コンドロイチン硫酸ナトリウムです。
ヒアルロン酸ナトリウムとコンドロイチン硫酸ナトリウムはいずれも、ムコ多糖類といって水分を保持する成分です。お肌の真皮にあってもちもちとさせたり、軟膏の中にあって水分を保持してくれますよ。目薬では保湿用に配合されています。
アミノ酸の配合意図は
目に栄養を与えて新陳代謝を促すことです。
目薬に配合されるアミノ酸成分としては、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、タウリン(アミノエチルスルホン酸)などがあります。なお、アスパラギン酸は、ヒトが体内で合成できるアミノ酸で、タウリンは元々、角膜に含まれるアミノ酸の一種です。
目薬に配合されるビタミン成分
目薬に配合されているビタミン成分は、栄養補給し新陳代謝を高めることを目的としています。
ビタミンA(レチノールなど)は、視細胞が光を感受する反応に関与しており、目に良い成分とされています。ビタミンB2(フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウムなど)は、角膜中に存在し明暗順応(めいあんじゅんのう)を助ける成分といわれています。ビタミンB5(パンテノール、パントテン酸カルシウムなど)や、ビタミンB6(ピリドキシン)は、疲れ目を緩和することを期待して配合されます。
ビタミンB12(シアノコバラミンなど)は神経のビタミン、ビタミンE(トコフェロール)は、血行促進成分と言われています。
目薬のイプシロン-アミノカプロン酸とは何か
目の炎症を抑える成分です。
イプシロン-アミノカプロン酸は抗炎症成分です。イプシロンは成分の化学構造を示しており、ε-アミノカプロン酸と書かれることもあります。
そのほか抗炎症成分として、青紫色のアズレンスルホン酸ナトリウム、甘草由来でおなじみのグリチルリチン酸二カリウム、卵の白身由来の塩化リゾチーム、荒れた粘膜を整えるアラントインや硫酸亜鉛などがあります。比較的新しい成分はプラノプロフェンです。
他の目薬が1日5~6回までの用法であるのに対して、プラノプロフェン配合の目薬は1日4回までです。
目薬の疑問あれこれ
病院を受診するとお医者さんや薬剤師さんが説明してくれますが、ドラッグストアなどで自分で購入するときには、種類がありすぎて分からないことが多いですよね。
疑問は登録販売者さんに聞いてみましょう!
- 緑内障の場合は使えない目薬の成分とは
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抗ヒスタミン成分や血管収縮成分です。
抗ヒスタミン成分は抗コリン作用を併せ持つ成分であり(副交感神経を抑えることで交感神経を活発にする)、血管収縮成分は交感神経を刺激する(アドレナリン作動)成分であるため、眼圧をあげる恐れがあります。眼圧が上がると緑内障の症状が悪化する場合があるので、医師又は薬剤師に相談が必要です。
ただし全ての緑内障に使えないわけではなく、閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょう)の人に使用ができません。
- 目薬は何歳から使えますか?
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ほとんどの目薬に年齢制限はありません。
目薬については「小児用」と書いていないものでも。特に年齢制限のないものがほとんどです。メーカーによっては「生後3か月から使える」「意思表示ができる1歳からを目安に」などの設定の幅があります。
常識的には、乳幼児は応急的な使用にとどめ病院受診を優先させます。いずれにしても目薬を小児(15歳未満)に使用させるときには保護者の監督のもとで使用することが必要です。なお抗炎症成分プラノプロフェンを配合した目薬では、7歳未満の幼児は使用しないこととなっています。
- 目薬の箱に書いてある40、50とは何ですか?
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製薬メーカーの主要ターゲットをさしています。「40」は40代、「50」は50代という意味です。
しかしこれは目薬としての年齢制限ではありません。
まとめ
ドラッグストアに行くと、多くの種類の目薬があって悩みますよね。違いがよく分からないという人も多いでしょう。自分に合った目薬を探すために、店舗に在籍している薬剤師さんや登録販売者の方に聞いてみましょう。自分に合った目薬をお勧めしてくれますよ。
目薬は身近な医薬品です。衛生面に気を付けて、使用用法、用量を守り使用しましょうね。