薬を服用した時の副作用や健康被害にはどのようなものがあるか?プラセボ効果とは何?

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薬の副作用
女性
薬の副作用って眠くなるとかのことね。
医師
命にかかわることもあるよ。まだまだ解明されていないことが多いんだ。
目次

副作用とは

医薬品による副作用被害やいわゆる薬害は、医薬品が十分に注意して使用されたとしても起こりえるものです。

薬の副作用には、眠気、口渇等の比較的よく見られるものから、死亡や日常生活に支障をきたすほどの重大なものまで、これまでの使用経験を通じて知られているもののみならず、科学的に解明されていない未知のものが生じる恐れがあります。

サリドマイド製剤、キノホルム製剤については、一般用医薬品として実際に販売されていたものです。

副作用事例とその対応

副作用事例の対応としては、国からの製品回収の要請、販売中止のほか「使用上の注意」の改訂指示などの措置が取られます。

アンプル入り風邪薬

解熱鎮痛成分としてアミノピリン、スルピリンが配合されたアンプル入り風邪薬の使用による重篤な副作用で1959年から1965年までの間に計38名の死亡例が発生しました。

アンプル剤は他の剤形に比べて吸収がはやく、血中濃度が急速に高値に達するため、通常用量でも副作用を生じやすいことが確認されたことから、1965年当時の厚生省より関係製薬企業に対し、アンプル入り風邪薬の回収が要請されました。

小柴胡湯による間質性肺炎

小柴胡湯による間質性肺炎については1991年4月以降、使用上の注意に記載されていましたが、その後、小柴胡湯とインターフェロン製剤との併用例による間質性肺炎が報告されたことから、1994年1月、インターフェロン製剤との併用を禁忌する旨の使用上の注意が改訂されました。

しかしそれ以降も慢性肝炎患者が小柴胡湯を使用して間質性肺炎を発症し、死亡を含む重篤な転帰に至った例もあったことから、1996年3月当時の厚生省より関係製薬企業に対して緊急安全性情報の配布が行われました。

一般用風邪薬による間質性肺炎

2003年5月までに、一般用風邪薬の使用によると疑われる間質性肺炎の発生事例が、計26例報告されました。

厚生労働省では、一般用風邪薬は一般の生活者が自らの選択により購入して使用するものであることと、間質性肺炎は重篤な副作用であり、その初期症状は一般用風邪薬の効用である風邪の諸症状と区別が難しく、症状が悪化した場合には注意が必要なことを踏まえ、同年6月、一般用風邪薬全般につき使用上の注意の改訂を指示した。

それ以前も一般用風邪薬の使用上の注意において、「5~6回服用しても症状が良くならない場合には服用を中止して、専門家に相談する」等の注意がされていましたが、それらの注意に加えて、まれに間質性肺炎の重篤な症状が起こることがあり、その症状は、風邪の諸症状と区別が難しいため、「症状が悪化した場合には服用を中止して医師の診療を受ける」旨の注意喚起がなされるようになりました。

塩酸フェニルプロパノールアミン含有医薬品

塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)は、鼻水、鼻詰まり等の症状の緩和を目的として、鼻炎用内服薬、鎮咳去痰薬、風邪薬等に配合されていました。

PPA含有医薬品については、2000年5月米国において、女性が食欲抑制剤として使用した場合に出血性脳卒中の発生リスクとの関連性が高いと報告され、米国食品医薬品庁(FDA)から、米国ないにおけるPPA含有医薬品の自主的な販売中止が要請されました。

日本では食欲抑制剤として承認されていないので、同年11月、直ちに販売中止する必要はないものとして、心臓病の人や脳出血の既往がある人等は使用しないように注意喚起を行いました。

プラセボ効果とは

医薬品を使用したとき、結果的または偶発的に薬理作用によらない作用を生じることをいう。

①暗示効果・・・医薬品を使用したこと自体による楽観的な期待。

②自然緩解・・・条件付けによる生体反応、時間経過による自然発生的な変化。

プラセボ効果とその反応

医薬品を使用したときにもたらされる反応や変化には、薬理作用によるもののほか、プラセボ効果によるものも含まれる。

プラセボ効果によってもたらされる反応や変化にも、望ましいもの(効果)と不都合なもの(副作用)とがあります。

プラセボ効果は主観的な変化だけでなく、客観的な変化として現れることもありますが、それを目的として医薬品が使用されるべきではありません。

プラセボ飲料とは何か

ノンアルコール飲料の定義はアルコール成分が1%未満のものをいいます。ノンアルコール飲料で酔っぱらうことはほぼありえません。しかし、ノンアルコール飲料でほろ酔い気分を味わえる人たちが実際に存在するのです。ちなみにノンアルコール飲料で酔うことを「空酔い」と言います。

頭ではノンアルコール飲料と分かっていても、アルコールに似せた味、におい、見た目などの刺激に脳が反応して騙されてしまうのです。

医薬品による薬害訴訟

サリドマイド製剤、キノホルム製剤については、一般用医薬品として実際に販売されていたものです。

サリドマイド訴訟

睡眠鎮静剤のサリドマイド製剤を妊娠している女性が飲んだことにより、出生時に四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生したことによる損害賠償訴訟。

薬効

サリドマイド製剤は睡眠鎮静成分として承認された(その鎮静作用を目的として胃腸薬にも配合されていた)が副作用として血管新生(すでに存在する血管から新しい血管が形成されること)を妨げる作用もあった。

妊娠している女性が摂取した場合、サリドマイドは血液-胎盤関門を通過して胎児に移行する。

胎児の成長過程で、諸器官の形成のため細胞分裂が行われるが、血管新生が妨げられると細胞分裂が正常に行われず、器官が十分に成長せず、両手両足の無い四肢欠損、視聴覚等の感覚器や心肺機能の障害等の先天異常が発生する。

サリドマイドの血管新生を妨げる作用は、サリドマイドの光学異性体のうち、一方の異性体(S体)のみが有する作用であり、もう一方の異性体(R体)にはなく、また、鎮静作用はR体のみが有するとされている。

サリドマイドが摂取されると、R体とS体は体内で相互に転換するため、R体のサリドマイドを分離して製剤化しても催奇形性は避けられない。

経過と対応

1963年6月に製薬企業を被告として、さらに翌年12月には国および製薬企業を被告として提訴され、1974年10月に和解が成立した。

サリドマイド製剤は、1975年に西ドイツで販売開始、日本では1958年1月から販売されていた。1961年11月、西ドイツのレンツ博士がサリドマイド製剤の催奇形性について警告を発し、西ドイツでは製品が回収されたが、日本では同年12月に西ドイツ企業から勧告が届いていたにも関わらず、出荷停止は1962年5月まで行われず、販売停止および回収措置は同年9月になるなど、対応の遅さが問題視された。

サリドマイドによる薬害事件は、世界的に問題となったため、WHO加盟国を中心に市販後の副作用情報の収集の重要性が改めて認識され、各国で副作用情報の収集体制の整備が図られることとなった。

スモン訴訟

整腸剤のキノホルム製剤を使用したことにより、亜急性骨髄視神経症に罹患したことに対する損害賠償訴訟。

キノホルム製剤は1924年から整腸剤として販売されていた。

薬効

症状として初期には腹部の膨満感から激しい腹痛を伴う下痢を生じ、下半身のしびれや脱力、歩行困難等が現れ、麻痺は上半身にも広がる場合があり、時に視覚障害から失明に至ることもある。

経過と対応

キノホルム製剤は1924年から整腸剤として販売されていた。

1958年ころから消化器症状を伴う特異な神経症状が報告され、米国では1960年にアメーバ赤痢に使用が制限され、わが国では1970年8月になりスモンの原因はキノホルムであるとの説が発表され、同年9月に販売が停止された。

1971年5月に国及び製薬企業を被告として提訴され、国はスモン患者の早期救済のためには、和解による解決が望ましいとの基本方針に立ち、1977年10月に東京地裁において和解が成立して以来、各地で和解が勧められ、1979年9月に全面和解が成立した。

HIV訴訟

血友病患者が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が混入した原料血漿から製造された血液凝固因子製剤の投与を受けたことにより、HIVに感染したことに対する損害賠償訴訟。

経過と対応

国及び製薬企業を被告として、1989年5月に大阪地裁、同年10月に東京地裁で提訴された。大阪地裁、東京地裁は、1995年10月、1996年3月にそれぞれ和解勧告を行い、同年3月に両地裁で和解が成立した。

国および製薬企業を被告として1989年5月に大阪地裁、同年10月に東京地裁で提訴され、大阪地裁、東京地裁はそれぞれ和解勧告を行い和解が成立した。

国はHIV感染者に対する恒久対策として、エイズ治療・研究開発センターおよび拠点病院の整備や治療薬の早期提供等の様々な取り組みを推進している。

1999年8月24日には「誓いの碑」の竣工式が行われた。「命の尊さを心に刻み、サリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する 平成11年8月厚生省」と刻まれている。

HIV感染者に対する恒久対策のほか、副作用等による健康被害の再発防止、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構との連携による承認審査体制の充実、製薬企業に対し感染症報告の義務付け、緊急に必要とされる医薬品を迅速に供給するための「緊急輸入」制度の創設等を内容とする改正薬事法が1996年に成立し、翌年4月に施行された。

血液製剤の安全確保対策として検査や献血時の問診の充実が図られるとともに、薬事行政組織の再編、情報公開の推進、健康危機管理体制の確立等がなされた。

CJD訴訟

脳外科手術等に用いられていたヒト乾燥硬膜を介してクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)に罹患したことに対する損害賠償訴訟。

経過と対応

CJDは細菌でもウイルスでもないタンパク質の一種であるプリオンが原因とされ、プリオンが脳の組織に感染し、次第に認知症に似た症状が現れ、死に至る重篤な神経難病である。

国、輸入販売業者、製造業者を被告として、1996年11月に大津地裁、1997年9月に東京地裁に提訴。大津地裁、東京地裁は2001年11月に和解勧告、2002年3月に両地裁で和解が成立。

本訴訟の和解に際して、国は生物由来の医薬品等の安全性を確保するため必要な規制の強化を行うとともに、生物由来の医薬品等による被害の救済制度を早期に創設できるよう努めることを誓約した。

2002年に行われた当時の薬事法改正に伴い、生物由来製品の安全対策強化、独立行政法人医薬品医療機器総合機構による生物由来製品による感染等被害救済制度の創設等がなされた。

CJD患者の入院対策、在宅対策の充実、CJDの診断・治療法の研究開発、CJDに関する正しい知識の普及・啓発、患者家族・遺族に対する相談事業に対する支援、CJD症例情報の把握等の措置が講じられるようになった。

まとめ

健やかクローバーまとめ&ポイント

薬は痛みを緩和させたり、病気を回復に向かわせることが出来る一方で、「クスリ逆から読むとリスク」とも取れるように、使い方によっては諸刃の剣(もろはのつるぎ)です。諸刃の剣とは、効果はあるが危険も伴うということをさしています。

安易に摂取するのではなく、用法用量を守り、自分の身体の様子を見ながら有効に使用することが大事です。分からない点は、薬剤師さんに相談するようにしましょう。

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