【家族の体験談】不登校の原因になることも多い起立性調節障害。高校生でも小児科受診が多い。

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起立性調節障害
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起立性調節障害とはどんな病気か

起立性調節障害は重症化すると体調不良から朝、登校するのが難しくなり不登校になるケースがあります。実際に不登校の3割強に起立性調節障害がみられるようです。

症状を悪化させないためには保護者や学校の先生、周りの理解や暖かいサポートが必要になります。

起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)は、起立時にめまいや動悸、失神などが起きる自律神経の機能失調です。思春期前後10歳から16歳の子どもに多くみられます。男女比率は女子のほうが少し多い傾向があります。

人の身体は、起立すると重力によって血液が下半身に貯留する。静脈を経て心臓へ戻る血液量が減少し血圧が低下するので、これを防ぐために自律神経系の一つである交感神経が興奮して下半身の血管を収縮させ、心臓へ戻る血液量を増やし、血圧を維持します。

しかし、自律神経の機能が低下した結果、このメカニズムが働かず、血圧が低下し脳の血流が減少するために、様々な症状が現れます。

女児の場合、症状が不定愁訴と似ていることもあり、診断が遅れてしまうことがあります。

起立性調節障害の原因

起立性調節障害の発症のメカニズムに関しては、まだ詳しい解明がされていませんが、自律神経の作用が大きく関わっていると考えられています。思春期には自律神経のバランスが崩れやすいので症状が出やすくなるようです。

診察時に、両親の思春期前後に同様の症状がなかったか問診されることが多いです。特に母親に似た症状があったケースが珍しくないので、遺伝的なものから家族の病気にも注目されています。起立性調節障害という病気は、本人の体質によるものが大きいのです。

何科を受診したらよいか

私のおすすめは、大きい病院の小児科を受診することです。初めて受診する段階で、まだ起立性調節障害という診断は下されていないわけです。医師がほかの検査も必要だと思った時に十分な検査設備と、他の科の医師との連携も取れる大きな病院は心強いです。

中学生にもなると小児科に行くのはちょっとと、思うこともあると思います。赤ちゃんや保育園児ばかりの待合室の中で待つのは、違和感がありますよね。しかし15歳以下の方はぜひ小児科に行ってください。小児科は15歳までのお子さんを対象にしている病院が多いので問題ありません。

肝心なのは小児科医は起立性調節障害の知識を持っている方が多いという点です。思春期前後に多い病気なので、不思議ではありませんよね。

内科や心療内科に行ってしまうと、身体のどこにも異常がなければ、ストレスや心の病気と判断されたり、起立性調節障害の検査をしない場合もあるでしょう。担当の先生によりけりなのでしょうが。

前にNHKで起立性調節障害の特集をしており、起立性調節障害を耳鼻科で治療していると方の映像も見たことがあります。

頭痛の症状のため、念のためにMRI検査

娘は頭痛もひどかったのでMRIも取ることになりました。小さな黒い血栓のような影が映し出され、小児科の先生が脳外科の先生に意見を求めたところ、今のところ様子見で治療や手術は必要なしとの判断だったそうです。

先生曰く、新しくできた影ではないと思われるので、幼いときかお腹の中にいたときに、脳に何らかの刺激が起こりできたのではないかということ。「手足にしびれや震えの症状がないのなら、心配しなくても大丈夫です。」とおっしゃられました。

結果論ですが、娘が本来持っている病気のリスクも知ることができたのです。でも脳の状態からきた頭痛ではなさそうと一つ原因が消去法で消えました。

私自身はMRIの検査はしたことはありませんし、経験のない人のほうがほとんどですよね。今回は1つの事実を知る良いきっかけになりました。検査してもらえて良かったです。

診断(新起立試験)について

新起立試験とは病院のベットで10分間横になり安静な姿勢を保った後、心拍数や血圧の変化を測定して結果を診断する検査方法のことです。

起床時の状態を知りたいため、朝、出来るだけ早い時間の病院の診察が始まる、朝一番に来てくださいとのことでした。

①起立直後性低血圧(軽症型・重症型)・・・起立直後に血圧低下が起こり、回復に時間がかかるタイプ。

②体位性頻脈症候群・・・起立後の血圧低下はなく、心拍数が以上に増加するタイプ。

③血管迷走神経性失神・・・起立中に急激な血圧低下が起こり、失神するタイプ。

④遷延性起立性低血圧・・・起立中に徐々に血圧低下が進み、失神するタイプ。

症状について

  • 立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい。
  • 立っていると気持ちが悪くなる。ひどくなると倒れる。
  • 入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる。
  • 少し動くと動悸・息切れがする。
  • 朝なかなか起きられずに午前中は体調が悪い。
  • 顔色が青白い。
  • 食欲がない。
  • 臍疝痛(へその周囲の痛み)をときどき訴える。
  • 倦怠あるいは疲れやすい。
  • 頭痛。
  • 乗り物酔いをしやすい。

朝起きられず、午前中が特に体調が悪い

起きなければ頭では思っても体が動かずに、起き上がることができない。なんとか起き上がっても座り込んでしまい、少しの間動けません。

午前中は特に頭がぼーっとして、授業が全然頭に入ってこない。その時のことを覚えていないと感じることがあります。

立ちくらみやめまいがする

立ち上がった時、目の前が真っ黒又は真っ白になり、身体がふらつくなどして動けなくなる。その場にしゃがみこんでしまう等の症状が多くあります。

起立性調節障害の診断を受けたら

中学生泣く

お子さんとゆっくり話をしましょう。

そしてお子さんは、お父さん、お母さんに希望を伝えましょう。

学校の先生と話をしましょう。抱え込まず相談できる人をつくっておきましょう。

医師の診断書を学校に提出するのも方法のひとつです。担任の先生に理解がなければ、部活の顧問の先生、校長先生、教頭先生、保健室の先生、学校カウンセラー誰でもいいのです。一人ぐらいは理解して協力してくれる先生がいるはずです。むしろ誰もいないなら、その学校はおかしいと思います。

保健室ばかり行ってしまう。遅刻してしまう。休んでしまう。体育ができない。名前を呼ばれてもすぐに立ち上がることができない。授業で集中できないので、先生にあてられても答えられない。部活の朝練に出られない等etc…

想像するだけで学校生活が子どもにとって辛く、試練が多いことは目に見えています。根性論は病気の人には無理です。周りの生徒や先生の理解がないことは、体調が悪いことにさらに追い打ちをかけるでしょう。人によれば、体調が悪いことよりもずっと辛いことです。

起立性調節障害の治療

治療には生活習慣の改善が基本になります。症状が多少あっても薬を服用しない状態で日常生活が送れる場合は、様子をみていくことも治療の一環です。

起立性調節障害は治る可能性の高い病気です。大人になる前には良くなることがほとんどのようですし、成人した時点で症状があっても、生活習慣に気を付け薬を服用することで十分に症状を抑えられます。前向きに病気と付き合っていくことが大事です。

規則正しい生活を心がける。

無理なく起きられる時間を決めて、毎日同じ時間に起きて、同じ時間に寝るようにしましょう。朝起きれないからといって、夜更かししてしまうのは悪循環です。毎日同じ時間に布団に入る習慣をつけます。

起立性調節障害の症状で寝つきが悪くなったり、不眠の症状が出る方もいます。寝れないからと不安になるかもしれませんが、心配しなくても大丈夫です。世の中には同じ人もいるんだと、穏やかな気持ちで布団の中で楽しいことを考えましょう。

十分な水分と塩分を取るようにする。

体を循環する血液量を増やすために、十分な水分と塩分を摂取するようにする。水分は1日1.5~2リットル。

運動により下半身の筋肉を強化し、血液の循環を良くする。

体調が良いときで大丈夫なので、散歩をしたり1日に30分は、意識して身体を動かしましょう。

立ち上がる時は頭をさげてゆっくり立ち上がります。短時間でも静止状態で起立するときは、意識して足をたまに動かせる。

症状にあった薬の服用をする。

主に血管を収縮させて血圧を上げる昇圧剤を使用します(ミドドリン塩酸塩など)。漢方薬を処方されることもあるようです。

自分の身体の変化をきちんと担当の先生に相談しましょう。

起立性調節障害を知ったきっかけ

著者には14歳になる娘がおります。厨二病という言葉がある通り、なかなか難しい年齢です。春頃は友達と四人グループのなかで楽しい学校生活を送っていたのですが、何かのきっかけでそのグループが崩壊し、その中の1人の子が娘に攻撃的になったようで、みんなの前で大きい声で「あいつキモイ」とか言うそうです。

徐々に攻撃が悪化していったようで、体調が悪いんだと娘は遅刻したり欠席したり早退したりしがちになります。学校に行きたくないと泣くこともありました。

娘がショックだったのはその子に悪口を言われることではなく、他の仲の良い子が味方になって守ってくれなかったことだそうです。(攻撃的なのは1人だけで、もともと口の悪い子だったようです。)

そのことはひとまず置いておいて、著者が心配だったのは、娘が「頭が痛い」とや「起きても動けない」と訴えそれが続いていることです。学校に欠席連絡を入れた後はけろっと元気そうにしていたり、休みの日は楽しそうにお家で過ごしていました。

少し様子をみていましたが、ストレスや仮病によるものではなくもしかしたら大きな病気をしているのではないかと不安になり、病院を受診しました。

娘の現状報告

我が家の中2の娘は薬を飲みだして体調も安定し、現在は普通に学校に行けています。(学校生活はそれほど楽しくないようですが、それも青春よと言い聞かせています。)

長女は自分の病気の症状を仲の良い友達等に何気なく話しているようで、似たような子がすでに2人も周りにいました。

1人は私も娘も全然知らなかったのですが、小学校の時に娘と仲良しで違う中学校に進学した子でどうやら半年前から不登校になっており、起立性調節障害と診断されており同じお薬を飲んでいるとのこと。

2人目は娘の話を聞いていて”私もそうなのかもしれない”思った子がいたらしく、お母さんと相談して病院で検査してもらったそうです。結果は違うかったのですが。

なるほど、思春期の3割強とは納得かもしれません。知らないだけで周りにはたくさんいるのかもしれませんね。

追記です。我が子も高校二年生になりました。今年はほぼ遅刻や早退、欠席も無く学校に通えています。9割の人が高校生のあいだに治る病気と言われているのを身をもって体感しました。薬の服用も高校の2学期にはほぼ必要なくなりました!

まとめ&ポイント

健やかクローバーまとめ&ポイント

このブログを最後まで読んでくださった方はきっと、似たような症状のお子さんをお持ちの保護者の方や、お子さんご本人だと思います。

我が家の娘は幸いなことに、早めに病院に行くことが出来、正確な診断の下、投薬のおかげで症状が落ち着いており、周りの理解もあったため学校に行くことが出来ています。

ただ最初はやはり悩みました。いえ頭を抱えるほど悩みました。娘も体調不良に苦しんでいたし、学校に行きたくないと泣く我が子をみて、このまま少しずつ学校にも行けなくなるかもしれないなと。勉強も遅れてしまうし、人生一度きりの中学校生活、もしかしたら高校も行けないのかななんて、悩みは膨らむ一方でした。

結局は私自身のことばっかりで今は反省しています。本当にしんどいのは娘のはずです。

でも学校を休んで夕方からなど体調が落ち着いて、家の中で機嫌よく私や夫に話しかけてくれる娘を見ると愛おしく、ふと元気ならそれでいいかと思えるようになりました。心身ともに健康でないと、学校に行けても意味がないですものね。

今は通信制の学校もあるし、起立性調節障害という病気も世の中に認知されつつあります。

この起立性調節障害と戦っているあなたへ、何もしてあげられない私がただ伝えたいのは、自分を責めないであげ欲しいということです。普段通りとか、人と同じようにとか出来ないあなたで今は大丈夫です。

焦らずに治療しながらゆっくり心を休め、病気と向き合い自分と向き合うための必要な時間だったのだと、親も子も共に後からそう思えますように。

また娘の症状に変化があれば投稿したいと思っています。よろしくお願いします。




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