セルフメディケーションとは何か?
近年セルフメディケーションという言葉を、よく耳にするようになりましたね。しかし、意味はよく分からないという方も多いと思います。
セルフメディケーションには、以下の2通りの定義があります。
世界保健機関(WHO) | 自分自身の健康に責任を持ち、軽度の身体の不調は自分で手当てする。 |
WHO以外 | 一般用医薬品の利用のほか、食事と栄養のバランス、睡眠・休養、運動、禁煙等の生活習慣の改善を含めた健康維持・増進全般。 |
簡単に言えば、
①病気しないように自分で健康管理に気を付けよう。
②病院に行かなくてもよさそうな場合は、市販薬を買って様子をみてみよう。
この2つの考え方から、成り立っているという理解でいいと思います。。
取り組み方法
軽度の不調を自分で改善するためには、日頃からの体調管理と生活管理への取り組みが重要になります。そしてさらに、自分が使用する医薬に関心を持つことが、安全に薬を服用することにつながります。
その1 生活習慣の改善
栄養バランスの良い食事、適度な運動、充分な睡眠時間を意識することで、身体にもともと備わっている自然治癒力(免疫力)を高めることができます。生活習慣病になるリスクを減らし、病気にかからないように気をつけましょう。
「ストレスは万病のもと」と言われます。どんな人でもストレスをゼロにするのは不可能に近いですし、多少のストレスはあったほうが、生活にメリハリがつきます。
ただし、明らかにストレス過多は身体に悪いです。ため込まず、少しずつでも発散する方法を取りましょう。(環境自体を変えざる負えない人もいるので、簡単なことではないですよね・・・。)
その2 医薬品の使用
ちょっとしたことでも、病院に行けば医師が診察してくれ薬を処方してくれます。医師の指示に従えばよいだけです。
しかし軽い症状を自分で改善するためには、病気や医薬品に対する正しい知識が必要になります。だからと言って、全部自分で調べて理解する必要はありません。そのために薬のアドバイスをすることができる、「薬剤師」や「登録販売者」という資格を持ったプロの人達が、薬の販売現場で働いてくれているのです。
症状を相談して一緒に薬を選んでもらい、アドバイスを受けましょう。
セルフメディケーション税制とは何か?
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)とは、市販薬の購入費用が高額になったとき、一定の条件を満たせば医療費控除の特例として所得控除を受けることができる制度です。
この制度は、2017年1月から5年間の特例として始まりましたが、2022年1月より5年間延長されることになりました。同時に内容も見直されて対象品目が拡大され、手続きも簡易になっています。対象となる方はぜひ活用してみてください。
医療費控除とセルフメディケーション税制の違いは?
確定申告の時期や、入院して医療費を支払う時などに、医療費控除という言葉を耳にしたことがある人は多いと思います。セルフメディケーション税制は始まってまだ5,6年なので、知らない人がいても全然、不思議ではありません。どのように違うのか、一緒に見てみましょう。
①一年間に支払った医療費の合計が10万円を超えた場合、超えた額が所得から控除されて税金が還付される制度。
しかし、比較的健康でお医者さんに診てもらう機会が少ないため、この制度を利用できるほど医療費を支払っていないという方が多いのかもしれません。セルフメディケーション税制とは?
仕事を休んでまで病院に行くほどではないので、市販薬(OTC医薬品といいます)をよく利用しているという方は、たくさんいらっしゃると思います。そんな方たちは、一定の条件を満たせば税金が還付・減額されます。
一定の条件とは、対象となるOTC医薬品を1年間に12,000円以上購入し、更にその年に会社の健康診断や自治体のメタボ健診などを受けていることです。
この制度は、自分自身の健康管理を心がけると共に、軽い症状であればOTC医薬品を利用することによって、自分で自分の健康を管理すること(セルフケア)を国として推進しようとするものです。医療費の削減のためですね。
セルフメディケーション税制はどうやって利用するの?
この制度は確定申告で申請します。以下の2点を一緒に提出することが必要です。
①対象となるOTC医薬品を購入したときの領収書。
年間1万2千円を超えた場合に、超えた金額(8万8千円を限度とする)について、その年の総所得金額から控除を受けることが出来ます。
②健康診断を受けたことを証明するもの(健康診断結果など)
対象となるOTC医薬品は
OTC医薬品は、医師の処方箋がなくても薬局やドラッグストアで購入できる薬のことで、かぜ薬や頭痛薬など、多様な製品が市販されています。セルフメディケーション税制は、全てのOTC医薬品が対象になるわけではなく、厚生労働省が指定する特定の成分・薬効のOTC医薬品が対象です。
2022年1月購入分から対象品目が拡大され、以下のいずれかに該当する製品が対象となります。
- 医療用医薬品からOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC)
- 上記(1)以外の外用鎮痛消炎薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬、鼻炎用点鼻薬、鼻炎用内服薬、抗ヒスタミン薬又はその他のアレルギー用薬としての効能又は効果を有すると認められるOTC医薬品から上記(1)を除いたもの
一部の製品には関係団体の自主的な取り組みにより、対象医薬品のパッケージにこの税制の対象である旨を示す識別マークが表示されています。
まとめ
急速な高齢化や生活習慣病の増加などにより、自分自身の健康に対する関心や意識が人が高い人が多くなっています。近年はコロナ禍でなおさらです。発熱していなければ病院に行きにくい空気があるのも事実ですよね。
それに伴って薬剤師や医薬品登録販売者などの、薬の専門家による適切なアドバイスの下、身近にある一般用医薬品を利用するセルフメディケーションの考え方がすすんできています。
セルフメディケーションの主役は、一般の生活者の私達です。対象の薬のレシートなどを保管する習慣をつけて、申告漏れがないように税金の還付を受けましょう。